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『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』江崎道朗(著)

Twitterでフォローしている評論家の江崎道朗さんの新書。


昨年末にAmazonで購入していたのですが、そのまま積読になってました。

先週、この本のことがふと気になり、手に取って読み始めたところ、”目から鱗が落ちる”歴史的なエピソードの連続でとにかく面白い!

例えば、日本において第二次世界大戦直後に共産主義陣営による敗戦革命の脅威があったことは一般的にあまり知られていませんが、この本では序章からソ連・コミンテルン、アメリカGHQ内の工作員、日本国内の共産主義者たちの連携により脅威が目前まで迫っていたことを詳らかに説明しています。

【p35】

日本は敗戦後、アメリカを中心とするGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって憲法改正を含む全面的な占領改革を強制された。
その対日占領政策の形成過程についての研究は進んでいるが、一九九五年にヴェノナ文書が公開されたことで、それらの研究を全面的に見直さなければならない事態に直面している。なにしろ、ルーズヴェルト民主党政権下で対日占領政策の立案に携わっていたメンバーの多くが、ソ連・コミンテルンの「工作員」「協力者」であったことが判明したからだ。



【p36】

敗戦後、GHQに潜り込んだソ連の工作員たちが日本で敗戦革命を引き起こすべく、日本の政治体制を弱体化するだけでなく、意図的に経済的困窮へと日本国民を追い込み、社会不安を煽ったのだ。
しかも、こうした食料危機を背景に、GHQに潜り込んだ工作員たちが日本占領開始直後、直々に刑務所に出向いて徳田球一や志賀義雄らを解放し、野坂参三が一九四六年に延安からモスクワを経て帰国する際に便宜を図るなど、陰に陽に日本共産党の復活と勢力強化に手を貸していた。
かくしてGHQの支援を受けた日本共産党は、労働組合を相次いで結成し、大規模な反政府グループを組織していく。
一九四七年二月、食料危機を背景に膨れ上がった労働組合を操る日本共産党と左翼勢力によって計画された二・一ゼネストは、内乱、人民統一戦線政府の樹立。そして共産革命へと発展しかねない大きな「危機」だったのだ。



アメリカのルーズヴェルト大統領が第二次世界大戦中に戦後秩序について話し合ったテヘラン、ヤルタでの二つの首脳会談でソ連に対してポーランドやバルト諸国、満洲や樺太を気前よく与え、ヨーロッパとアジアの両方で戦後のソ連の覇権を容認したことは知っていましたが、なぜアメリカの政策がかくも酷い「お花畑」路線になったのかについても分かりやすく解説しています。

【p116】

ソ連や中国共産党の工作員が、アメリカの政策決定プロセスの奥深くまで浸透し、政府の要職を占め、政策策定に関わり、機密情報を盗みつづけていたからである。
アメリカのルーズヴェルト民主党政権には一九三〇年代から共産主義者、ソ連の工作員たちが浸透しはじめ、アメリカが第二次世界大戦に参戦してソ連と同盟国になってからはさらに酷くなった。



当時のアメリカの共産主義に対する警戒心の欠如と、ソ連・コミンテルンの工作能力の凄まじさには改めて驚愕します。

1950年代に共和党マッカーシー上院議員による告発(赤狩り)が無かったならば、アメリカ政府内へのソ連工作員の浸透を防ぐことは出来ず、共産勢力の膨張により世界秩序はもっと酷いことになっていたかもしれません。

また、以前から中国の国共内戦で初期段階では圧倒的に有利だった国民党がなぜ共産党に敗れたのか不思議だったのですが、この本を読んで謎が解けました。

【p143-144】

一九四六年夏からトルーマン政権は、中国国民党政府に対して禁輸、つまり経済制裁を実施したのである。禁輸は少なくとも一九四七年五月まで続いた。蒋介石が中国共産党と手を結ばなかった、という理由からだ。
…アメリカ海軍の第七艦隊を率いていたクック提督の証言によると、中国国民党軍にはアメリカ製の兵器で装備された師団が数多くあったので、アメリカ製の弾薬が入ってこなくなると、それらの師団は、火力を失って敗北した。トルーマン政権の禁輸によって中国国民党は弱体化させられていた。
国共内戦が決定的な潮目を迎える時期に、トルーマン政権はこうして中国国民党軍を事実上「武装解除」し、結果として中国共産党を支援しつづけていたのである。
一方、中国共産党軍は、日本軍が降伏時、満洲でソ連軍に引き渡した膨大な武器弾薬と補給物資を手に入れていた。



国共内戦でもアメリカが情勢判断を大きく誤り、結果的に中国国民党ではなく、中国共産党を勝たせていたというのは驚きでした。

この他にも、台湾最大の危機を救った根本博氏や白団の活躍、朝鮮戦争をめぐるソ連のスターリンと中国の毛沢東の駆け引き、ソ連による北海道侵略の危機、日本社会党が日本共産党による武装蜂起を不発へと追い込んだ事実など、高校・中学の歴史の授業では決して教わることのないエピソードがわんさかと出てきます。

IR参入で中国企業から賄賂を受け取った与野党議員、桜を見る会を巡り不毛で無駄な時間を費やしている野党議員、それから中国・韓国に対し過度に忖度するメディア関係者に真っ先に読んで頂きたい本です(あの方々は決して手に取ることも無いんだろうなあと思いつつ…)。

朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作 (PHP新書)
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【評価】
★★★★☆(星4つ半)
外国勢力による秘密工作やインテリジェンスを踏まえた近現代史研究の重要性、それから、過去に何度も情勢判断を誤ってきた同盟国アメリカに日本の安全保障を委ねることの危険性を痛感させられた本です。
日本の安全保障は、日本人が自らの頭で考え、自ら守っていく気概と覚悟が重要なのだと改めて実感しました。
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